税理士や行政書士のホームページを開いた人が料金を確認しようとした瞬間、「詳しくはお問い合わせください」の一言しかない。その時点で多くの人は、別のサイトへ移ってしまいます。
結論からいうと、士業のホームページで問い合わせを増やすために最も効果的なのは、料金表と実績の2つを具体的に書くことです。この2つがあいまいなままでは、比較検討の段階で候補から外れてしまいます。費用感が見えない、頼んだ人の声がない、という状態が「問い合わせゼロ」の最大の原因です。
この記事では、税理士・行政書士がホームページに「料金と実績」を載せるための具体的な書き方を、項目・文例・チェックポイントを交えて解説します。
料金と実績が「あいまいなまま」だと問い合わせが来ない理由
士業のホームページで問い合わせが来ない原因の多くは、料金か実績のどちらかが不足していることです。資格情報やサービス内容は書いてあるのに、この2点がぼやけているケースが非常に多いです。
料金が書いていないと候補から外れる
ホームページを見た人は、次の3点を確認してから問い合わせを決めます。
- 自分の悩みを解決してくれそうか
- 費用感が合いそうか
- 信頼できる人・事務所か
このうち「費用感」が確認できないと、比較検討の段階で候補から外されます。税理士費用や行政書士費用を調べる人は、ある程度の予算感を持って複数サイトを見比べています。料金ページに「詳しくはお問い合わせください」だけが書いてある状態は、問い合わせの最初のハードルを自分で高くしているのと同じです。
「問い合わせないと分からない」という設計は、見込み客にとって「聞くのが面倒」「他で分かりやすいところに頼もう」という判断材料になってしまいます。
実績がないと選ぶ根拠がない
士業のサービスは目に見えないため、依頼する前に「この人で本当に大丈夫か」という不安が生まれやすいです。料金の透明性と同じくらい、「どんな人が頼んできたか」という実績情報が意思決定に影響します。
実績(件数・業種・地域・顧客の声)を具体的に書くことで、訪問者は「自分と似た立場の人が依頼したことがある」と確認でき、問い合わせのハードルが下がります。逆に実績がゼロのままだと、料金を書いていても「本当に経験があるのか」という疑問が残り、問い合わせに踏み切れない人が出てきます。
料金と実績の2つはセットで整えることが重要です。どちらか一方だけでは効果が半減します。
料金ページの書き方(税理士・行政書士別)

料金ページを作る目的は、「相場より高い/安い」を伝えることではありません。「自分はいくら払えばいいか」を訪問者に想像させるために作るものです。その観点で、税理士と行政書士それぞれの料金表に入れるべき項目を整理します。
税理士の料金表に入れる5つの項目
次の5項目を表形式または箇条書きで載せると、訪問者が費用感をつかみやすくなります。
- 対象(個人・法人の区別):どちらの依頼を受け付けているかを最初に明示する。「法人のみ」「個人確定申告も対応」など。
- 顧問料(月額目安):法人なら売上規模・訪問頻度別の目安を表で示す。例「売上1,000万円未満の法人:月額2万円〜」など。
- 決算申告料(年1回):法人・個人それぞれの目安額と、含まれる作業範囲(記帳確認・申告書作成など)を一言添える。
- スポット対応の料金:相続税・譲渡所得・補助金申請など単発の目安額を業務ごとに書く。
- 含まれるサービスの内容:記帳代行・給与計算・税務相談の有無を箇条書きで明示する。「何が含まれてその料金か」が見えないと不安につながる。
全額を出しにくい場合でも、「月額顧問料:2万円〜(売上規模・訪問回数により変動)」のように下限金額と変動要因のセットで書くだけで、問い合わせへの心理的ハードルが大きく下がります。
もし料金ページに数字がひとつもない場合、まず「最もシンプルなプランの月額料金1点だけ」を出すところから始めることをすすめます。完璧な料金表を目指すより、数字が1つでもある状態のほうが問い合わせ効果は高いです。
行政書士の料金表に入れる4つの項目
行政書士は業務の種類が非常に幅広いため、自分が実際に対応している業務に絞って料金を書くことがポイントです。全業務を羅列すると訪問者が混乱します。
- 業務の種類:「会社設立」「在留資格(ビザ)申請」「遺言書・相続手続き」「建設業許可」など、自分が受け付けているものだけを列挙する。
- 料金の目安(税込か税別かを明記):例「会社設立 書類作成:8万円〜(登録免許税・実費は別途)」のように、実費が別であることを明示する。
- 含まれる作業範囲:「書類作成のみ」か「申請代行込み」かを明示する。含まれる範囲が分からないと料金の比較ができない。
- 追加費用が発生するケース:急ぎ対応・複雑案件・遠方出張費など、後からトラブルになりやすい点を先に書いておく。「追加費用は別途ご相談」と1行入れるだけでも誠実さが伝わる。
「応相談」を避けて具体的に書くコツ
「応相談」「ご相談ください」で終わる料金ページは、見込み客に「聞くのが怖い」「高そう」という印象を与えやすいです。「応相談」を使う場合でも、次のように「目安+変動要因」のセットで書くと具体性を保てます。
| 書き方(避けたい例) | 書き方(おすすめ例) |
|---|---|
| 料金はお問い合わせください | 月額顧問料 2万円〜(売上・訪問回数で変わります) |
| ケースによって異なります | 会社設立 8万円〜(資本金・業種によって加算あり) |
| 詳細はご相談ください | 相続案件 15万円〜(財産の種類・関係者数で見積もり) |
「応相談」の前に数字があると、問い合わせへの一歩が踏み出しやすくなります。料金が一切書いていないページと、下限金額が1つある料金ページでは、問い合わせ数が大きく変わります。
実績ページで信頼を作る4つの要素

実績は件数・業種・具体的な内容・顧客の声の4点セットで書くと、訪問者が「自分に似たケース」を見つけやすくなります。何年何月にどんな依頼を何件こなしたか、という情報がそのまま「選ぶ根拠」になります。
件数と期間を具体的に書く
「多数の実績があります」では情報ゼロです。「2016年の開業以来、法人顧問契約を累計80件以上対応」のように、数字と期間を組み合わせると信頼の根拠になります。
正確な数字を出しにくい場合は「2020年〜2025年の5年間で、個人確定申告を年間40〜50件対応」のように範囲で書くのも有効です。「累計○件以上」という表現も、件数の目安が見えるため問い合わせの背中押しになります。
実績数をゼロから積み上げる段階であれば、「現在〇名の顧問先と契約中」「今月◎件の申告書を作成」のように現在進行形の数字でも構いません。
業種・規模・地域を添える
「誰の依頼に対応してきたか」を具体化すると、訪問者は自分と近いケースを見つけやすくなります。次の3点を添えるだけで、実績の具体性が増します。
- 業種:飲食業・建設業・IT・医療・不動産・士業など
- 規模:従業員数の目安(1〜5名の個人事業主、10〜30名の中小法人など)
- 地域:対応可能な都道府県・市区町村(「大阪市内を中心に対応」など)
個人情報の関係で社名が出せない場合も、「大阪市内の飲食店(従業員3名)の顧問契約を5年継続中」のように匿名化した記述で実績感を出せます。業種と規模と地域の3点が揃うと、訪問者が「これは自分のケースに近い」と感じやすくなります。
お客様の声(口コミ)を掲載する
依頼者からのコメント(許可を得たもの)を掲載することで、同じ悩みを持つ訪問者の背中を押せます。長文でなくていいです。
「毎年の確定申告を任せられるようになって、3月が楽になりました(大阪市・飲食店経営・40代)」のように業種・地域・年代を一言添えるだけで、読んだ人が「自分と似ている」と感じやすくなります。
口コミをまだ集めていない場合は、Googleビジネスプロフィールに投稿された口コミをホームページでも引用する方法があります。また、初回依頼のお客様に「ひとこと感想をいただけますか」と声をかけ、許可を得てコメントを掲載していくことで、ゼロから少しずつ積み上げられます。
資格・所属団体・登録番号を明示する
税理士・行政書士として登録していることを証明する情報は、信頼の基盤になります。次の項目をプロフィールページや実績ページに載せましょう。
- 資格名(税理士・行政書士)と登録番号
- 所属する税理士会・行政書士会の支部名
- 開業年または登録年
- 得意領域・専門分野(相続、在留資格、建設業許可など)
登録番号を出すことで、日本税理士会連合会や日本行政書士会連合会の検索システムで確認できる裏付けになります。登録番号があるとないとでは、信頼感に大きな差が生まれます。資格の証明書(認定書)の写真を掲載する事務所も多く、視覚的な根拠として効果的です。
問い合わせにつながるページの整え方
料金と実績を書き終えたら、訪問者が次のアクションを取りやすいページ設計を確認します。どんなに内容が充実していても、問い合わせへの導線が機能していなければ依頼につながりません。
問い合わせフォームとアクセス情報を整える
料金・実績を見て「依頼したい」と思った人が次に見るのが、問い合わせ方法と所在地です。次の点を確認してください。
- フォームは「氏名・メール・相談内容」の最低3項目で作る(項目が多いほど離脱が増える)
- 電話番号を書く場合は、タップすると発信できるリンク形式にする(スマホ対応)
- 所在地・最寄り駅・営業時間・定休日を明記する
- 地図を埋め込むか、Googleマップへのリンクを置く
フォームの入力項目が多いと、送信前に離脱が起きやすくなります。「名前」「メール」「ご相談内容(自由記述)」の3点だけでまず受け付け、詳細は折り返しで聞く設計が問い合わせを増やしやすいです。
料金ページと実績ページへの導線を作る
料金ページと実績ページを作っても、トップページからリンクがなければ見てもらえません。よくあるのは「料金ページは作ったのにグローバルナビに入れ忘れ」です。
- グローバルナビ(ページ上部のメニュー)に「料金」「実績・お客様の声」を入れる
- トップページのファーストビュー(最初に見える部分)に料金ページへのボタンを置く
- 料金ページの末尾に問い合わせフォームへのリンクを必ず入れる
料金を見て「依頼しよう」と思った瞬間に問い合わせボタンが見える状態を作ることが重要です。料金ページと問い合わせフォームの距離が遠いと、その間に迷って離脱が起きます。ホームページに最低限載せるべき情報のまとめ方についてはホームページに最低限載せるべき5つの情報もあわせて参考にしてください。
スマホで料金ページの表示を確認する
料金表を表(テーブル)で作ると、スマホでは横スクロールが必要になって読めないことがあります。実際にスマホで自分のホームページを開いて、次の点を確認してください。
- 料金表が横にはみ出していないか(横スクロールが必要になっていないか)
- 文字が小さすぎないか(16px以上が目安)
- 問い合わせボタンが押しやすいか(高さ44px以上が目安)
スマホで見にくい状態のまま料金・実績を充実させても、内容を読んでもらえません。表示の確認はコンテンツ作成とセットで行うことが大切です。スマホ表示の改善についてはスマホで見やすいホームページにする基本でくわしく解説しています。
地域名と業種名でホームページを検索されやすくする方法については「地域名+業種」で検索されるためにホームページでやることも参考にしてください。
よくある質問
料金をすべて公開したくない場合はどうすればいいですか?
すべての金額を出す必要はありません。「月額顧問料 2万円〜(売上規模・訪問頻度により変動)」のように下限金額と変動要因のセットで書くだけで、問い合わせへのハードルは大きく下がります。金額が一切書かれていない状態だけは避けることが大切です。
開業したばかりで実績がほとんどない場合はどうすれば?
勤務時代に積んだ経験・得意な業種・取得資格・所属する士業会の支部名を先に書くことで、ゼロスタートでも信頼の根拠を作れます。また、初回依頼のお客様に許可を得てコメントをもらうことで、早い段階で実績を積み上げられます。件数より「どんな人の役に立てるか」を具体的に書くことが有効です。
税理士と行政書士の両方の資格を持つ場合、料金ページはどう整理しますか?
業務の種類(税務・会計 / 許認可・ビザ申請など)でセクションかタブを分けると、訪問者が自分に必要な情報を見つけやすくなります。ページ冒頭に「税務のご相談はこちら」「ビザ・許認可のご相談はこちら」と誘導文を置く方法も有効です。
「地域名+税理士」などのキーワードで検索されるには何が必要ですか?
ページタイトルに「大阪市 税理士」「横浜 行政書士」のように地域名と業種名を入れることが基本です。住所テキストをホームページに書き、Googleビジネスプロフィールと連携させることで検索されやすくなります。詳しくは「地域名+業種」で検索されるためにホームページでやることを参照してください。
お客様の声を掲載するときに気をつけることは?
掲載前に依頼者本人から許可を取ることが必須です(文書または口頭)。個人が特定されないよう「業種・地域・年代」程度の情報にとどめ、氏名や会社名はイニシャルか「A様」表記にするのが一般的です。Googleビジネスプロフィールの口コミをスクリーンショットで引用する場合も、Googleの利用規約の範囲内で使用してください。